キン肉アタル(キンにくアタル)は、『キン肉マン』およびその続編『キン肉マンII世』に登場する超人。
主な特徴[]
初登場は、キン肉星王位争奪編『ソルジャー登場の巻』。キン肉マンことキン肉スグルの実兄で、キン肉王家の長男。
幼い頃に、両親のスパルタ教育に耐え切れなくなり家出したため、アタルの存在は真弓夫妻と極一部の側近以外には隠匿され、弟スグルにも知らされていなかった。しかし、弟スグルの闘いをずっと見守っており、正義超人たちの友情がただの馴れ合いになっていると感じたアタルは、彼らに活を入れるべく行動を開始。自らのマスクと引き換えに、倒したキン肉マンソルジャーに成りすまし、キン肉星王位争奪サバイバル・マッチで25年ぶりに姿を現した。
経験豊富な先輩超人として、キン肉スグルはもちろん他の正義超人たちからも一目置かれる存在。馴れ合いではない真・友情パワーを提唱し、火事場のクソ力の原型ともいえる業火のクソ力(アニメでは元祖・火事場のクソ力)を持つ。
作者・ゆでたまごは運命の5王子を考えていくうちにキン肉マンの仲間を引き込み、より王位を継承するのにふさわしいキャラとしてデザインし、キャラクターが固まるまで時間がかかったという。しかし、その苦労もあり、描いているうちに次第に感情移入し、王位争奪編シリーズの中では彼らの試合が一番思い入れが強かったと語る[1]。
『キン肉マン』でのキン肉アタル[]
生い立ち[]
キン肉王家の第一王子として誕生したキン肉アタルはキン肉星の王子として、父キン肉真弓から遊ぶことも許されず、食事や入浴時間も取れないほどの厳しいスパルタ教育を受けていた。9歳のころ遂にそれに耐え切れなくなり、非行に走った末、弟・スグルが生まれる前に家出。その際、扉に左腕をぶつけて負傷、以後古傷として残る。
王子としての立場を捨てて逃げたことに対しては責任を感じており、自分の代わりに満身創痍になりながらも闘うスグルを見て感動し、正義に目覚める[2]。
超人血盟軍結成[]
馴れ合いとなっている正義超人たちの友情に活を入れるため、キン肉星王位争奪サバイバル・マッチ出場を決意したアタルは、富士山で特訓中の残虐チームを襲撃。ナパーム・ストレッチで全員を倒し、ソルジャーのマスクを奪い去る。その後ブロッケンJr.、バッファローマン、アシュラマン、ザ・ニンジャをスカウトするため、ドイツ・ベルリンに赴く。一度は断られるが、ベルリン市街にて現れた強盗から子供を冷静かつ的確な判断と行動(牧師に変装して強盗を欺き撃退)で救い出す。強盗退治後のソルジャーの気高い態度に引かれたブロッケンJr.らは残虐チーム入りを決意し、超人血盟軍を結成。
準決勝にて名古屋城でキン肉マンスーパー・フェニックス率いる知性チームと戦う。知性チーム先鋒サタンクロスに先鋒ザ・ニンジャを倒され、次鋒アシュラマンが引き分ける。状況を不利と見たソルジャーだったが、ブロッケンJr.(アニメではフェニックス)の提案した3vs3の6人タッグマッチで決着をつけることになる。
空中に浮かぶ立方体リングでの戦いは当初、フェニックスの実力を測るため、消極的なファイトを行うが、ブロッケンJr.がプリズマンと相打ちになり伊吹山の渓谷に落下する。責任を感じたアタルは勇猛果敢なファイトでフェニックスとマンモスマンに善戦。マンモスマンの「ビッグ・タスク」に恐怖するバッファローマンに活をいれ、彼を立ち直らせる。その正々堂々としたクリーンファイトから、ソルジャーの正体に疑問が浮上し初めると、自らソルジャーとは別人だと明かす。偽のソルジャーの正体が書かれた預言書のページを残虐の神が手に入れるものの、バッファローマンが命がけでそれを守り、マンモスマンと共に渓谷へ転落して消えた。
お互いのチームメイトが倒れ一対一となったソルジャーは、倒れたチームメイトの技を次々使用し、フェニックスに猛攻を加える。しかしKOされたかに思われたマンモスマンが復活、預言書のページがソルジャーの身体に作用することに気付き、屋外のたいまつの中に放り込んでしまう。預言書が燃え肉体が消滅するなか、両親の口からソルジャーの正体がキン肉王家の長兄・アタルだと公表されると、アタルは業火のクソ力を発動、最後の力を振り絞りマッスル・スパークの残りの50%を弟スグルに伝授する。とどめのマッスル・リベンジャーによりKOされる寸前、アタルはキン肉王家3つの心得を残し、最後は弟スグルの胸の中で消滅する。
その後、預言書の灰は復活したネプチューンマンの手により回収され、奇跡の灰として、決勝戦にてキン肉マンを激励した。決勝戦終盤では、同じく消滅させられたジェロニモ、ロビンマスク、ネプチューンマンと共に邪悪大神殿に侵入し封印されたキン肉マンの火事場のクソ力を復活させる。
最終回では、消滅させられた超人たちと共に、キン肉マンのフェイス・フラッシュで復活を遂げる。
主要対戦成績[]
- タッグマッチ
- ×知性チーム(キン肉マンスーパー・フェニックス / マンモスマン / プリズマン、マッスル・リベンジャー)
- 団体戦
- ×知性チーム(0勝2敗1引き分け)
『キン肉マンII世』でのキン肉アタル[]
自らの本来のマスクを捨て去っているため、あえてキン肉マンソルジャーとして活動を続けている。キン肉万太郎が生まれてから、キン肉星を離れ現在も現役超人として戦い続けているため、肉体の衰えは全く無い。
キン肉星王位争奪サバイバル・マッチ後、ザ・ニンジャと超人警察隊(アンタッチャプル)を結成。多くの宇宙に散らばる悪行超人捕縛に活躍。その後もキン肉星を離れていたが、甥・キン肉万太郎の一大事と聞き、評議会に参加。万太郎にK.K.D修練を勧め、その様子を監視していた。
究極の超人タッグ編[]
フードの男として暗躍。万太郎一行を太陽の塔へ誘導し、マッスル・スパーク「地」の完成の手助けをする。
得意技[]
- ナパーム・ストレッチ
- アタルのオリジナルホールド。相手をカンパーナ(釣鐘固め)の体勢に捕らえ、回転しながら空高く上昇した後急降下し、相手の胸部をキャンバスに激突させる技。
- 一撃で全てを焼き払うナパーム弾並の威力を誇ることからこの名前が付いた[3]。
- 相手は落下の際に胸部に強力な空気抵抗を受けるために胸にアルファベットの「A」の文字が刻まれる。アニメでは「X」の字が刻まれていた。

- アタル版マッスル・スパーク
- キン肉族三大奥義「マッスル・スパーク」のかけ方の50%。右脚で相手の首、左脚で左の太股を絡めて上昇し、空中で相手と背中合わせで覆いかぶさるようなブリッジの体勢となり、相手の両手をチキンウイングに捕らえ、相手の両足に自分の両足を絡ませた状態で落下しマットに激突させる。詳しくはマッスル・スパークを参照。
- 肉のカーテン
- キン肉族の先祖・キン肉タツノリが考案した鉄壁の防御法。貝が殻を閉じるかのように両腕で自分の頭と身体をガードする。マンモスマンの攻撃を防ぐために使用した。
- ダブル・タスク・スープレックス
- マンモスマンの2本のビック・タスクを両脇に抱え込んで後方に投げ捨てるスープレックス。
- 順逆自在の術
- 元はザ・ニンジャの技で、一瞬にして技の受け手と掛け手を入れ替える。フェニックスのマッスル・リベンジャーから逃れる際に使用。詳しくは順逆自在の術を参照。
- 背転田楽刺し
- 元はザ・ニンジャの技。フェニックスのマッスル・リベンジャーから逃れる際に使用。アニメ版で使用。
- 超人稲綱落とし
- 空中で逆さ状態にした相手の足の裏に自分の両膝を合わせて落下、リングに激突させる技。元はアシュラマンの「阿修羅稲綱落とし」。詳しくは阿修羅稲綱落としを参照。
- ベルリンの赤い雨
- 元はブロッケンJr.の技。左腕で放つ鋭い手刀。詳しくはベルリンの赤い雨を参照。
- バッファロー・ハンマー
- バッファローマンの残したアームサポーターを装着し、繰り出された左腕でのラリアート。詳しくはバッファロー・ハンマーを参照。
- フェイス・フラッシュ
- マスクを捲り上げた素顔から放たれる、キン肉王家の正当な血を引く証の光。マンモスマンの振り上げた鉄柱に照射し、溶解した。
プロフィール[]
- 分類: 正義超人→伝説超人
- 出身地: キン肉星[4]
- 身長体重: 197cm 102kg[4]
- 年齢: 34歳(家出時9歳)[2]
- 超人強度: 108万パワー[4](1億パワーとの記述もあり[5])
- 家族: 祖父・キン肉タツノリ、父・キン肉真弓、母・キン肉小百合、弟・キン肉スグル、義妹・キン肉ビビンバ、甥・キン肉万太郎
- 備考: チョップを打つ腕は左利き[6]
異名[]
主な肩書き[]
- 超人血盟軍・大将
- キン肉王族長兄
- 超人特別機動警察隊(アンタッチャブル)
コンピュータゲーム[]
初登場となる『キン肉マン キン肉星王位争奪戦』では大将戦用のキャラクターとして登場。ステージ3でフェニックスとの一騎打ちになり、彼でフェニックスを倒せればステージ4でネプチューンマンが使用可能になる。必殺技は「ナパーム・ストレッチ」と「アタル版マッスルスパーク」。
『キン肉マンII世 超人聖戦史』では主人公の正悪を示す属性ゲージが一定値なら仲間になるが、中立ルートでないと仲間にする機会がない。主人公が投げタイプなら、「ナパーム・ストレッチ」を習得できる。主人公が選んだルートにより扱いが分かれる。以下にそれを示す。
- 正義ルート
-
- フェニックスルート
- 原作同様。終盤バッファローマンとタッグマッチで闘う。
- ソルジャールート
- 主人公が事情を話し、ザ・ニンジャに代わって超人血盟軍に加入。王位争奪編に優勝すると王位継承を辞退し、自分の正体を明かしてキン肉マンに王位を譲る。
- 中立ルート
- 主人公が王位継承サバイバルマッチによる超人界の混乱を防ぐ際の交渉に登場、事情を話すか話さないかにより戦闘になる。
- 悪行ルート
- 悪魔超人入りした主人公の前にキン肉マンと共に立ちはだかる。
『キン肉マン マッスルジェネレーションズ』では、タッグチームを組むキャラクターによっては特定のチーム名が付けられる。
- ブラザーフッド - キン肉マン
- アタック電撃隊 - バッファローマン
- ザ・グラディエーターズ- 支配されたバッファローマン
- ザ・コマンドーズ - ブロッケンJr.
- コンバット・ニンジャズ - ザ・ニンジャ
- ソルジャーチーム - アシュラマン
- 業火のKKDコンビ - キン肉万太郎
いずれもゲームオリジナルの名称である。
『キン肉マン マッスルグランプリ』シリーズでは『キン肉マン マッスルグランプリMAX』から登場、最後の隠しキャラクターとなっている。『キン肉マン マッスルグランプリ2』からは最初から使用可能。
声優[]
- キン肉マン キン肉星王位争奪編、キン肉マン マッスルジェネレーションズ、キン肉マン マッスルグランプリシリーズ
- 千葉繁
- キン肉マンII世
- 竹本英史
- キン肉マンII世 正義超人への道
- 稲田徹
補足[]
- 作中、アタルが牧師に扮し、強盗から身を挺して人質を救うシーンは映画『七人の侍』のオマージュ。作者によればアタルには『七人の侍』で志村喬が演じた島田勘兵衛のイメージを重ねているという[10]。
ギャラリー[]
註[]
- ↑ ゆでたまご「これがゆで流創作術!キン肉マン―運命の選択肢― 〜キン肉星王位争奪編〜」『キン肉マン キン肉星王位争奪戦 (3) 壮絶死闘!超人血盟軍編』集英社〈ジャンプリミックス ワイド版〉、2006年12月9日、ISBN 978-4-08-109314-4、310-311頁。
- ↑ 2.0 2.1 TEAM MUSCLE編「謎の74:グレて家出したアタルがなぜ正義超人になったの?」『キン肉マン 77の謎』集英社〈ジャンプコミックスセレクション〉、1998年12月16日、ISBN 4-83-421678-0、178-179頁。
- ↑ ゆでたまご「邪悪神の共謀!!の巻」『キン肉マン 第30巻』集英社〈ジャンプコミックス〉、1987年2月15日、ISBN 978-4-08-851810-7、72頁。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 TEAM MUSCLE編「全超人ファイル 021 キン肉アタル」『キン肉マン超人大全集』集英社インターナショナル、2004年7月31日、ISBN 978-4-7976-1003-1、50-51頁。
- ↑ TEAM MUSCLE編「伝説超人名鑑」『キン肉マンII世超人大全』集英社〈スーパー・プレイボーイ・コミックス〉、2002年7月24日、ISBN 978-4-08-857396-0、168頁。
- ↑ ゆでたまご「ソルジャーの涙!!の巻」『キン肉マン 第29巻』集英社〈ジャンプコミックス〉、1986年12月10日、ISBN 978-4-08-851809-1、184頁。
- ↑ TEAM MUSCLE編「カラーイラスト集」『キン肉マン超人大全』集英社〈ジャンプコミックスセレクション〉、1998年7月22日、ISBN 978-4-8342-1677-6、30頁。
- ↑ ゲーム『キン肉マン マッスルグランプリMAX』
- ↑ 生誕29(ニク)周年 みんなのキン肉マン特集 前編 <週刊特集 Vol.52> 59人を一挙紹介!超人大図鑑All About
- ↑ 『キン肉マン』生誕29周年ビジュアルブック MUSCLE GALLERY~筋肉画廊~
関連項目[]
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